2019年07月12日

イル・ディーヴォ Time To Say Goodbye

きょうの音楽

イル・ディーヴォ Time To Say Goodbye「君と旅立とう」

世界的な成功をおさめている4人組ヴォーカル・グループ、イル・ディーヴォが歌うTime to Say Goodbye がすばらしい。


彼らはクラシカル・クロスオーバーのブームに火をつけた。クラシックの声楽でポップスを歌うクラシカル・クロスオーバースタイルで活動している。

元歌はイタリアの歌手アンドレア・ボチェッリが、1995年イタリアのサンレモ音楽祭で歌ったカンツォーネ「君と旅立とう」コン・テ・パルティロ( Con te Partiro)である。

1996年イギリスのソプラノ歌手サラ・ブライトマンが曲が気に入って、ボチェッリにデュエットを申し入れた。

曲名を英語のTime To Say Goodbye「君と旅立とう」に替え、歌詞はイタリア語で二人のデュエットはヨーロッパ全土で爆発的にヒットした。

ドイツでは「Karel Gott - Zeit zu geh'n」で、歴代最多販売枚数を記録する。全世界では1200万枚以上が売れ世界歴代最多販売作品となった。

サラ・ブライトマンはソロバージョンを英語歌詞でもリリースして、旅立ちの歌として結婚式でもよく歌われる。

いまではもう懐かしい思い出の音楽となってしまったが、イル・ディーヴオの歌はいま聞いても新鮮に聞こえてくる。

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 左から順に
セバスチャン・イザンバールSebastien Izambard(ポップ)1973年フランス出身。

デイヴィッド・ミラーDavid Miller(テノール)1973年アメリカ出身。

カルロス・マリンCarlos Marin(バリトン)1968年スペイン出身。

ウルス・ブーラーUrs Buhler(テノール)1971年スイス出身。


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2019年07月06日

孤独な式子内親王

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  人知れぬ 思ひのみこそ 侘しけれ
        わが嘆きをば 我のみぞ知る   紀貫之 古今集

人知れず燃えてしまう片思いの恋は、とっても切なく辛いのです。燃える想いを嘆くその辛さは、自分にしか知ることが出来ません。

当時和歌で「忍ぶ恋」を詠えるのは男性で、女性が忍ぶ恋を歌にすることは出来なかった。式子はこの紀貫之の歌を本歌として、自分の片思いを男歌として次のように詠んでいる。


  忘れては うち嘆かれるる 夕べかな
        我のみ知りて すぐる月日を   式子内親王  新古今集

胸に秘めた恋を忘れようと、夕暮れ時になると、ふとため息をついてしまうのです(うち嘆かれるる)。自分にしか分からない辛い月日をこれまで長い間過ごしてきたのです。本歌は冒頭の紀貫之「人知れぬ〜我のみぞ知る」

夕暮れになると貴族社会では手紙のやりとりで男女の出会いが始まる。天皇の娘である式子は、男から手紙が来るのを待つだけであった。

自分にしか知らない片思いで過ごした辛い月日、式子は秘めた恋を忘れようと、ふと出てしまった夕暮れの溜息、自分は孤独な女性歌人であると正直に詠っている。


男が詠う忍ぶ恋に敢えて進展させた式子、本歌の紀貫之を越え重みのある歌となっている。同じ忍ぶ恋でも、女性の垣根を越えた式子のほうに実感がこもっている。


きようの音楽


シューベルト  アベマリア

ソプラノ バーバラ・ボニー

偉大なリリック ソプラノ、バーバラ・ボニーが歌う。イギリスの歴史小説家、ウォルター・スコットの韻文小説「湖上の美人」中の詩に、シューベルトが曲を付けた作品。聞いていると崇高な歌唱力にいつのまにか浸ってしまう。


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2019年06月30日

五嶋みどりの「サパテアート」

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 ケイトウ


きょうの音楽

  
サラサーテ 「サパテアート」
  
  バイオリン 五嶋みどり  

前回バッハのシャコンヌを取り上げたとき、悩んだ末に ヤッシャ・ハイフェッツを取り上げたが、五嶋みどりの超絶技巧のヴァイオリンが得意だったのを思い出し、きょうは五嶋みどりでサラサーテのサパテアート。

10才でデビューし多くの指揮者からも素晴らしい才能に注目された少女であった。現在は、南カリホルニア大学の教授をしながら、国際的な素晴らしい演奏活動を続けている。

18才五嶋みどりのアンコール演奏
1990年、カーネギーホールデビューでロバート・マクドナルド(ピアノ)「カーネギーホールでのミドリライブ」からの映像。




五嶋みどり  タングルウッドの奇跡

来場者35万人を超えるアメリカ・マサチューセッツ州で開催された世界的な音楽祭「タングルウッド音楽祭」で14才の少女が驚きの行動を起こした。

この時の様子は、「タングルウッドの奇跡」として、アメリカの小学校の国語教科書に掲載された。「ぜったいあにあきらめない」この気持ちを子供達に教えた。ニューヨークタイムズの一面を日本人が飾ったのは、これが初めてであった。

1986年ボストン交響楽団とバーンスタイン作曲・指揮によるヴァオリンとの協奏曲、セレナーデを演奏中に、E弦が切れたにも関わらず、コンサートマスターとストラディバリウスを交換して演奏を続けた。

子ども用のヴァイオリンから、いきなりサイズが大きい大人用のヴァイオリンを首席奏者に交換してもらって演奏した。それもまたもやE弦が切れ、次は副コンサートマスターと交換、2回もの危機を乗り越えた。

その手順の速さと判断力は見事で、あきらめない気持ちが伝わってくる。その状況を伝えるのが次の映像である。演奏を終えてからバースタインが涙を拭う様子も垣間見える。以来バースタインは積極的に五嶋みどりと組んで演奏している。

  「ヴァイオリンと弦楽オーケストラのためのセレナード」

  作曲・指揮 レナード・バースタイン 
  ボストン交響楽団 ヴァイオリン 五嶋みどり


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 赤、黄 ケイトウ           


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2019年06月24日

身を知る雨

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伊勢物語 第百七段「涙河」より 身を知る雨

さて、今年はまだ本格的な梅雨の雨は降らず、6月も終りを迎えている。古今集在原業平の人気の歌に、自分の孝、不孝を知る「身を知る雨」がある。この歌に辿り着くまでが結構おもしろく、以下、伊勢物語「涙河」の順を辿ってみた。

在原業平のところに若い女がいた。その女に藤原敏行が好意を寄せ、歌を書いて手紙などを送っていた。

          つれづれの ながめにまさる涙河
                                 袖のみぬれて 逢ふよしもなし       藤原敏行 (古今集)

退屈ですることもなく長雨を見ながら、あなたを思って物思いにふけっていると、流した涙が川のようになってしまったのです。涙の川は袖が濡れるばかりで、あなたに会うことが出来ません。会うには、どうすればいいのでしょうか。

この手紙を受け取った女はまだ若く、手紙も書けず言葉の使い方も知らず、まして歌の手紙などは読むことすら十分でなかった。そこで女の主人である業平が下書きを書き、女に書かせて敏行の元に送らせた。

           あさみこそ 袖はひづらめ涙河
                                     身さへながると聞かば頼まむ    在原業平 (古今集)

浅い川のせいで袖ばかりが濡れる涙河でしょう。あなたの身が流される程に川が深いと聞いたならば、あなたのことをもっと頼りにするでしょうに、と、業平は揶揄するような歌を詠んでやった。袖が濡れるだけの恋なんて、あなたの恋は浅いのですと言われた敏行。

そう言うことかと、痛く感心して文を巻物にして文箱に保存した。敏行がその女と結ばれた後のことである。「今にも雨が降って来そうな空を見て、私の心は憂鬱です。もし私の身に幸いがあり、あなたが私のことを心底想ってくださっているようならば、この雨はきっと降らずに、

あなたに逢いに行けると思います」と言って敏行が女のもとに手紙を寄越した。そこで業平は、女に代わって次の歌を詠み、男(敏行)の元に届けさせた。

            かずかずに 思ひ思はず 問ひがたみ 
            身を知る雨は 降りぞまされる      在原業平 (古今集)

あなたが私のことを色々と思っているのかどうか、あれこれと聞けないのです。私の幸、不幸を知るのは私に降り注ぐ雨(身を知る雨)です。その雨がいまの私の涙としてより厳しく降り注いでいます。

この返事を受け取った敏行、雨具もつけず女のところへすっ飛んだ。以前に女からあなた様の恋は浅いと言われた敏行、こんどの女の要求は雨にも負けない恋心だと言う。敏行、これはさあ大変と、慌てて女の元に駆けつけた。

在原業平、女性の気持ちをよく心得ている。いまでは信じ難いような三人の関係。どうやら歌の訓練を兼ねた恋の仲立ちである。敏行と業平、この二人の妻は姉妹関係にある。

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きょうの音楽

  バッハ シャコンヌ

  バッハ無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番より「シャコンヌ」抜粋
  ヴァイオリン    ヤッシャ・ハイフェッツ 
Bach Chaconne from Partita No. 2 in D minor
Jascha Heifetz, violin Paris, ORTF Studio 102, September 16, 1970
Label. RCA



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2019年06月18日

ヴィターリ のシャコンヌ 

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きょうの音楽

ヴィターリ のシャコンヌ ト短調

ヴァイオリン サラ・チャン
Sarah Chang 韓国系アメリカ人。10才のサラ・チャンに、ユーディメニューインが評価をしている。サラ・チャンの才能はあまりに途方もなく、この才能を生み出した自然の神秘にただ畏れ驚くしかない。(The New York Times)



シャコンヌと言えばバッハ(無伴奏ヴァイオリンの為の”パルティータ第2番”の終曲が「シャコンヌ」)、その次が「ヴィターリ のシャコンヌ」であろう。ところがバロック時代のヴィターリのシャコンヌ、誰が作曲したのか分かっていない。

曲名には時々、伝ヴィターリ ・シャコンヌと書かれている。フェルディナンド・ダーフィト Ferdinand DAVIDの教則本で、ヴィターリの曲とあったが、いまでは全否定されている。現在演奏されている曲は、このヴィターリのシャコンヌをレオポルド・シャルリエ (1867-1936)が編曲した編曲版である。

18世紀後半のフランスではオペラの劇場作品にシャコンヌ(三拍子の舞曲の1種)がよく流行った。それも暫くして消えて行った。19世紀には「バロック音楽の再発見」が起こり、多くの作曲家がJ.Sバッハの作品をモデルにしたような曲が流行した。


また同時に、埋もれていたバロックの曲も掘り起こされたので、この曲もその頃生まれた疑似バロックのようにも思ってしまう。しかし、ヴィターリの人気は、何といってもロマン派を思わせるような哀愁ある旋律と美しい変奏にある。

この曲が始まると、奏者も聴く人も作曲者のことは横に置き、ロマン香る作品にみな心を奪われてしまう。 


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2019年06月12日

在りし日の歌より「曇天」中原中也

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  「曇天」 中原中也  在りし日の歌より
     
  ある朝 僕は 空の 中に、
  黒い 旗が はためくを 見た。
  はたはた それは はためいて ゐたが、
  音は きこえぬ 高きが ゆゑに。

  手繰り 下ろさうと 僕は したが、 
  綱も なければ それも 叶(かな)はず、
  旗は はたはた はためく ばかり、
  空の 奥処(おくが)に 舞ひ入る 如く。

  かかる 朝(あした)を 少年の 日も、
  屡々(しばしば) 見たりと 僕は 憶(おも)ふ。
  かの時は そを 野原の 上に、
  今はた 都会の 甍(いらか)の 上に。

  かの時 この時 時は 隔つれ、
  此処(ここ)と 彼処(かしこ)と 所は 異れ、
  はたはた はたはた み空に ひとり、
  いまも 渝(かは)らぬ かの 黒旗よ。


毎日続く曇天、そこに何とも薄気味悪い黒旗が浮かぶのである。ハタハタと閃くばかりで音はしない。下ろそうとしたが手が届かない。

少年の時も、いま住む都会の中でも空には黒旗がはためいている。「曇天」は1936年(昭和11年)中原中也29才のとき中央公論と並ぶ 「改造」に初めて載った記念すべき作品である。

第4連にある「はたはた はたはた み空に ひとり」このみ空に一人とは自分のこと、たなびく黒旗は中也自身であろう。

まさかであるが、中也はすでに自分の運命を見破っていたのであろうか、1年後にこの黒旗は神仏の手によって降ろされたのである。

11月には子供の死のショックで精神が不安定となり翌1937年1月に入院。一旦退院し9月になって結核性脳膜炎で入院して1937年10月22日病死する。

あと2ヶ月で結婚して4年目を迎えようとする、惜しむべき30才での早逝である。

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きょうの音楽

モーツアルト 「2台のピアノのためのソナタ」 K448(375a) 第1楽章

マルタ・アルゲリッチ & ガブリエレ・バルドッチ

幸運にも世界トップピアニストのアルゲリッチ(アルゼンチン78才)に見い出されたバルドッチ(イタリア39才)、二人の組み合わせから熱いモーツァルトが堪能できる。

二人が組んでから既に10年、多くのCDが出ている。2台のピアノソナタには複数の曲があり、その内「2台のピアノのためのソナタ」として完成したのはこの曲のみ。

それ以外は断片としてのソナタ楽章や「四つ手のためのピアノソナタ」となっている。

Argerich & Baldocci - Mozart, Sonata KV448, First Movement


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2019年06月06日

チームラボのアート展・姫路美術館

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「世界は暗闇からはじまるが、それでもやさしくうつくしい」

「境界のない生命の連続性の上に危うく奇跡的に存在する」 ・・・・姫路市立美術館

デジタルアート集団「チームラボ」展覧会がいま姫路市立美術館で開催されている。人々を作品の一部とし、人々と世界との関係性をより連続的なものに変えることを表現した美術館でのデジタルアート展。最終日は6月16日。 

企画制作は「チームラボ」社。来場者がその部屋の文字に近づくとその文字がもつ世界が次々と表れる。現実とは違う世界の中で、さまよいながら作品を体験してほしいと製作者によるコメントがある。

プログラマー、エンジニア、数学者、建築家、デザイナー、アニメーター、絵師などのスペシャリストから構成されたアート集団で作られた全く新しいアート。

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以上は2つの写真と共に、チームラボと姫路市立美術館のPRより。

ここからが自作の写真撮影。

第1の部屋、数々の鳥や動物が映し出され、人が近づくと一部が輝き出す作品。
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第2の部屋、壁面を滑り落ちる漢字に触れると、その言葉が意味する映像に変化する。
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第3の部屋、大迫力のうねる荒波が次々と現れる。画像面の周りは鏡で取り囲まれている。
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第4の部屋、花が散っていく様子を繰り返し表現する美しい映像で締めくくっている。
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美術館でこのようなデジタル画像展があるのを初めて見たが、はじめの方は部屋全体が真っ暗の中、壁面画像が次々と大きく動きはじめて、自分の視覚や体がついて行かない。美術館で開催するのは全く新しい試みで、大胆なデジタル画像の変化について行くには少し時間がかかる。

素材のアート作品は膨大な量、さらにコンピュターで画像を操るソフトもよくやっている。このあたりで飽きられてしまうか、更にどう発展するか興味あるところである。4日の火曜日開館開始の10時を少し過ぎて入ったが、すでに人でいっぱい。幼い幼児も多く賑わっていた。

逆に帰る頃になると空いてきた。写真撮影OKで三脚なしの手持ち撮影。写真の第1〜第3室は6月7日人の少ない午後3時頃に撮り直す。会期は、4月20日(土)から6月16日(日)まもなく終わる。



きょうの音楽


  「ジャクリーヌの涙」 オッヘンバック作曲  
             編曲ヴェルナー・トーマス=ミフネ

チェロ ヴェルナー・トーマス=ミフネ
ミュヘン室内管弦楽団

you tubeの表題「Jaqueline Du Pre - Jacqueline's Tears 」のジャクリーヌ・デュ・プレ(1945−1987)はイギリスのチェロ奏者で、指揮者アバレンボイムと結婚、42才の若さで夭折した天才チェリスト。

曲名の「ジャクリーヌの涙」は、チェリストの「ヴェルナー・トーマス」が編曲発表してから、「ジャクリーンの涙」と名付けられた。曲名には彼からジャクリーヌ・デュ・プレへの追悼の意味がある。
Jaqueline Du Pre - Jacqueline's Tears (Jacques Offenbach)  



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2019年05月31日

風雨 中原中也

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     「風雨」  中原中也     未刊詩篇

     雨の音のはげしきことよ
     風吹けばひとしほまさり
     風やめば つと和みつつ

     雨風のあわただしさよ
     ――悲しみに呆けし我に、
     雨風のあわただしよ!

     悲しみに呆けし我の
     思ひ出はかそけきことよ
     それににて巷も家も
     雨風にかすみてみゆる

     そがかすむ風情の中に、
     ちらと浮むわがありし日よ
     風の音にうちまぎれつつ
     ふとあざむわがありし日よ   
           
        
「風の音にうちまぎれつつ ふとあざむわがありし日よ」中也はこの最後の2行で言い尽くしている。我が在りし日は、情けなくも風雨に紛れて吹き飛ばされ、今にも消えそうだと軽蔑し、あざ笑う。

処女詩集「羊の歌」(1934年、昭和9年)では人間関係で多くの挫折感を味わっている中也、ここでは過ぎ去りし日のことを、何もかも消えかかる思い出として幻想する。

しかし子供の文也の死など、在りし日の悲しみなどは、第二詩集「在りし日の歌」(1938年、昭和13年)に載せられ、中也30才での病死半年後に、友人小林秀雄の手で出版される。


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今日の音楽


 筝曲 「瀬音」  作曲 宮城道雄

琴と低音十七絃筝の二重奏「瀬音」が作曲されたのは1923年(大正12年)、尺八との二重奏の「春の海」よりも6年前の作曲。曲は利根川の激しい流れと、穏やかな川面の2極を表現しており、低音域の補強のために十七絃筝との二重奏となっている。 


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 撮影5月29日 ひめじ手柄山公園。


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2019年05月25日

万葉の薔薇

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写真は、古くからの日本代表種ノイバラ。家の近くの薔薇園では、日本の古代種ノイバラが咲いていた。 

   

道の辺の茨(うまら:宇万良)の末(うれ)に延(は)ほ豆の 
          
              からまる君をはがれか行かむ       万葉集 丈 部鳥

道辺のイバラの枝先に伸び広がる豆のように、別れを惜しみながら足元にからまっている妻を引きはがし、旅立たねばならないのでる。愛する妻を残し、関東から遠く九州へ赴任する防人の惜別の歌となっている。

普通、「君」は男性を指すが、ここは男女の区別なく敬愛の意を込めた「あなた」であって、妻のこと。
次は平安時代の古今集に紀貫之が、はじめてそうび(薔薇)を詠んだ歌。奈良時代の野生のノイバラと違った、中国からやってきた観賞用薔薇を、初めて見た印象を詠っている。

「我はけさうひにぞみつる花の色を あだなる物と いふべかりけり」 

(けさの「さ」とさうびの「さ」が重なっている) 私は今朝 初めてそうび(薔薇)を見た。きのうには無かった儚い(あだなる)花であり、 それは色っぽく艶めかしい(みつる)花の色だと言うべきものであった。



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今日の音楽

  「シューマン 流浪の

  テルツ 少年合唱団

少年のソリスト達それぞれがとっても個性的で素晴らしく、これは相当に高いレベル。テルツ 少年合唱団は、モーツァルト生誕200年祭(1956年)のとき南ドイツのアルプス山中、温泉地バートテルツ(Bad Tolz)に生まれる。

バイエルンの天使とよばれ日本のマンガにも登場。放送、オペラ、CDなどで人気。団員の少年は200人を数え、4つのグループに分かれて活動している。

Tolzer Knabenchor - R. Schumann - Zigeunerleben


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 ひめじ薔薇園 5月17日



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2019年05月19日

満州の丘に立ちて

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きょうの音楽

満州の丘に立ちて (На сопках Маньчжурии)

作曲:イリヤ・アレクセエヴィッチ・シャトロフ
歌詞:アレクセイ・イワノヴィッチ・マシストフ
バリトンオペラ歌手:ディミトリー・ホロストフスキー(Дмитрий А. Хворостовский)


日露戦争(明治37年2月〜38年9月)の満州・奉天会戦は共に厳しい戦であった。両軍に多くの死傷者を出しロシア軍は戦意を喪失し、日本軍は既に限界に達していた。戦争終結翌年(明治39年)ロシア軍の軍楽隊長イリヤ・シャトロフが戦死者を弔い吹奏楽で作曲した。

シャトロフの歩兵連隊も多くの戦死者を出した。曲名は「満州の丘のモクシャンスキー歩兵連隊」で、寂しいワルツである。それから20年経ち、この戦いが如何に悲惨であったかを示す歌詞が付けられ、歌曲「満州の丘に立ちて」が生まれた。哀愁に満ちたこの歌は今もロシアで歌われている。

日本陸軍24万人、ロシア帝国軍36万人が交戦し、日本側死傷者は約7万5千、ロシア側死傷者および捕虜は約9万(死傷者数wikipedia)となった。日本軍勝利とはいえ、決着は日本海々戦に持ち越された。
ベンチャーズが「さすらいのギター」(MANCHURIAN BEAT)で演奏して世界ヒットする。  

  「満州の丘に立ちて」 日本語訳詞:笹谷榮一郎

   静かに霧は流れ
   雲の彼方に 月は輝きぬ
   白く光る十字架
   安らかに勇士は 丘に眠りぬ
   面影わすれじ 永久(とわ)
   勝利の誓い はたさん
   やがて平和は来たりぬ
   我等が上に(繰り返す)

   静かに霧は流れ
   雲の彼方に 月は輝きぬ
   白く光る十字架
   安らかに勇士は 丘に眠りぬ
   なつかし母 若き妻 嘆き悲しむ
   勇士を偲び惜しむ 全ロシア
   静かに霧は流れ
   雲の彼方に 月は輝きぬ
    

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  デルフィニウム 5月16日 ひょうごフラワーセンター


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