2019年01月12日

式子の愛しい人

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生きてよも 明日まで人は つらからじ この夕暮を問はばとへかし  新古今集 式子内親王

よもや、明日までも私は生きてはいられないだろう。そんな私を知ったならば、つれないあの方も少しは憐れんでくれるはず、訪ねてくれるならば、今日の夕暮れにお越し下さい。
(生きてよも=よもや、生きてはいない)

もしもあの人が「あの日の内に訪ねておくのだった」と後悔の念を、一方的に相手に求める切羽詰まった式子内親王の表現は強烈である。

さて、式子の愛しい人についてwikipedia(式子内親王)には次のように書かれている。

藤原定家の日記「明月記」には、しばしば内親王に関する記事が登場し、特に薨去の前月にはその詳細な病状が頻繁な見舞の記録がある。
また、式子の薨去については一年後の命日まで一切触れていなく、この式子内親王の恋歌は、百首歌として発表される前、既に定家に贈ったものと記している。こうした下地があって、やがて定家と内親王は秘かな恋愛関係にあったとする説が公然化した。

そのようなことで、式子が愛した人が表面に出せない秘密の恋ならば実に二人は可哀そう。さて、定家と式子の年齢差である。調べてみると式子が13才年上であった。
 
式子:生誕1149年 逝去1201年(52才)・・・式子は定家より13才年長
定家:生誕1162年 逝去1241年(79才) 

式子が52才で亡くなったとき定家は39才。当時この年齢差では二人が恋仲になるのはかなり難しい。ただ、恋人は定家であると言わせしめたほうが浪漫がある。 

二人とも和歌の師は藤原俊成であり、歌の道では姉弟弟子。二人仲良く歌の道に励んでいた素敵な関係があったことに違いない。



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 ベゴニア 
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 1月11日 加西ひょうごフラワーセンター


きょうの音楽

ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品18

ピアノ アンナ・フェドロヴァ(Anna Fedorova1990年〜ウクライナ)

きょうは品のいいフェドロヴァによる久々のラフマニノフ・ピアノ協奏曲第2番。Rachmaninoff: Piano Concerto no.2 op.18 - Anna Fedorova - Complete Live Concert - HD 



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2019年01月06日

冬は来にけり 式子内親王


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見るままに 冬は来にけり 鴨のゐる 入江の汀(みぎわ) 薄凍りつつ  新古今集 式子内親王


見ているうちにすっかり冬が来たようだ。ふと気が付けば、いつも鴨がうずくまっている入り江の水際が、だんだんと薄く凍ってきた。汀=みぎわ(水際)

ゆったりと冬の到来を受け入れようとする、叙景歌としての魅力がいっぱい。式子は少しづつ凍って行く入り江を、冬の到来として眺めながら長閑に詠っている。

見たままの冬を詠う内親王の品格と、古風な雅さを感じる数少ない冬の歌で、伝統を守りながらも、鎌倉初期の新しさを織り込んでいる。


さりともと 待ちし月日ぞ うつりゆく 心の花の 色にまかせて   新古今集  式子内親王

そのうち来てくれるだろうと待っていた月日は空しく過ぎ去っていく。あの人の心の花の色が褪せてゆくままに。愛する人は、いつまで経っても来ないことを嘆き諦めようとしている。
(さりともと=そうだとは思っていても)

移り行く心の花の色とは、父俊成卿より幽玄の美を学んだ息子の定家より20才も年上の式子がこの歌である。この頃の式子は最先端にいたと思われる。


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 (昨年1月の姫路温室植物園の新春らん展より、今年は1月12日より開催される)


きょうの音楽

ワルツ 「春の声」 "Fruhlingsstimmen"  ヨハン・シュトラウス2世

ソプラノ  パトリツィア・ヤネチコヴァ( Patricia JANEČKOVA)

12歳のときに、チェコ、スロヴァキアのTV番組の大会で優勝。天才少女現るで翌年アルバムを出すも、積極的なアイドル活動をやらずにヤナーチェク音楽院に入る。

1998年生まれの20才。とってもきれいな声、厚みのある本格的なオペラ歌手に向けてはこれからで、今後楽しみなソプラノ歌手。
Patricia JANEČKOVA: "Fruhlingsstimmen" (Johann Strauss II)
 



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2019年01月02日

新春 瀬戸内の漁港

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   正月立つ 春の初めにかくしつつ 相し笑みてば時じけめやも   万葉集 大伴家持

正月の春の初めに、こうして集まって笑っているのは季節外れなのだろうかと、家持。
(かくしつつ=このようにしながら、相し笑みて=睦月、時じ=ときじ 季節外れの)

元旦は、毎年息子達家族が夕刻に我が家に集まりお祝いをする。この時が初笑い、孫たちも成長してきて笑いの質が変わってきて、戸惑う今日この頃である。

天候もよく穏やかな元旦、たつの市室津の漁港へ出かけてみた。お昼過ぎまでが晴天で、写真を撮り終える午後からは曇り空になった。

牡蠣の売店が数軒お店を開けていたが、漁は休みで漁船の出入りはない。日の丸と大漁旗を目当てに写真を撮る人、見物する人が次々とやって来る。

以前よりも大漁旗を上掲する船が少なくなってきたが、漁港には正月気分にさせてくれる、日の丸と大漁旗のいい風景がある。

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きょうの音楽

筝曲 春の海   宮城道雄

1926年(昭和4年)年末、宮城道雄が32才のとき、次の新年歌会始の勅題「海辺巌」に合わせて作曲した。以来、新春お祝の曲ともなっている。


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  2019年元旦 たつの市室津


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2018年12月27日

ブルーシクラメン

ブルーシクラメン

シクラメンの展示会が姫路植物園であり(12月25日まで)、中に「ブルーシクラメン」が4品種の4鉢があった。展示されている赤系シクラメンの中で見慣れない青いシクラメンが、ひと際目立っていた。

青い花への挑戦は厳しい。空は青、海も青、しかし植物や動物には青色色素がなく、人工交配では作れないという自然の掟がある。

いまのところ青の一歩手前の紫であるが、この世界ではこれを「ブルーシクラメン」という。青いバラ、青い菊も生まれているが、それでも青にはまだあとわずかである。

シクラメンの花言葉。赤が嫉妬、妬みで、青は遠慮、想いが響き合う等という。赤と青は真逆でこれがいい。赤い花は元気一杯に生きている。それが元で妬みや嫉妬になるのかも。

それに対する青は気品ある「遠慮」、上手に付け分けている。


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 胡蝶                                                     瑠璃玉

胡 蝶:白く縁取りされ少し反りのある花弁は、まるで蝶が踊っているような愛らしい咲き
            姿。
瑠璃玉:思わず触れたくなる丸く滑らかな花弁。この中で一番に大きな花を咲かせている。

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 江戸の青                  月下

江戸の青:非常に多く咲く、深い青色のシャープな花弁。ふちがギザギザでハート型の葉。
     ひねりのある花弁のため、上から花を見ると横から見る花からは想像できないフォ
     ルムも楽しめる。
月下:月光を受けた雪のように花色を際立たせる銀葉。

以上の個別説明は制作会社の説明文を掲載。

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後列4鉢がブルーシクラメン 左から胡蝶、瑠璃玉、江戸の青、月下、ブルーの4品種。
姫路植物園の展示会に上の4鉢があった。PC検索では一鉢1〜2万円とかなり高価。



きょうの音楽

ベートーヴェン : 交響曲第9番ニ短調作品125《合唱付き》から、第4楽章

アンナ・トモワ=シントウ(S)
アグネス・バルツァ(A)
ルネ・コロ(T)
ジョゼ・ヴァン・ダム(Br)
ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
1977年12月31日、フィルハーモニー(ベルリン)

きょうは、1977年のカラヤンの第九合唱。1947年39才の初レコードから〜1986年78才最後のレコードまで、数え切れないカラヤンの第九があるが、中でもぜひこの77年を。

77年はカラヤン69才の時、華麗で颯爽とした演奏は、カラヤンファンにとっては忘れられない演奏である。

全曲の場合は、幻の演奏と伝えられる68年、カラヤン絶頂期の演奏。
 → ttps://youtu.be/HV7bgY626rU



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2018年12月23日

ユー・レイズ・ミー・アップ

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「ユー・レイズ・ミー・アップ」 (You Raise Me Up)


曲は、ノルウェーとアイルランド出身の二人組「シークレットガーデン」による楽曲で、2002年のアルバム『Once in a Red Moon』に収録された。

日本ではケルティック・ウーマンの歌が東北被災地応援曲として、よくリクエストされて知られている。you tubeで見つけたオランダの無名路上シンガー、これがとってもいい。

歌手は、マーティン・ハーケンスさん(Martin Hurkens オランダ)1953年生まれの65才パン職人、働きながら教会の聖歌隊で歌っている。

年配男性の路上シンガーの歌が、道行く多くの人達を感動させているのだが、通行人の動きを見ていると様々な思いが巡ってきて興味深い。

小雨降る寒い中、路上で歌い、脱いだ帽子に次々とチップが入る。その情景が歌の内容に合っていて感動を与える作品になっている。


セルティック・ウーマン(Celtic Woman)
 You raise me up


作詞 ブレンダン・グラハム(Brendan Graham )
作曲 ロルフ・ラヴランド (Rolf Lovland)

When I am down and, oh my soul, so weary;
When troubles come and my heart burdened be;
Then, I am still and wait here in the silence,
Until you come and sit awhile with me.

落ち込んで心底うんざりしたとき
困難に見舞われ重荷を抱えたとき
私はただここで静かに待つの
あなたが来て そばに座ってくれるまで

You raise me up, so I can stand on mountains;
You raise me up, to walk on stormy seas;
I am strong, when I am on your shoulders;
You raise me up... To more than I can be.

あなたが励ましてくれるから
山の頂にも立てる
あなたが励ましてくれるから
荒ぶる海も渡ってゆける
私は強くなれるのよ
あなたの支えがあれば

There is no life, no life without its hunger;
Each restless heart beats so imperfectly;
But then you come, and I am filled with wonder;
Sometimes I think, I glimpse eternity.

飢えのない人生などない
気ぜわしい胸の鼓動はひどく乱れていて...
でもあなたが来て、私の心が感動で満たされると
時に永遠をかいま見たと思うほどになる

※You raise me up, so I can stand on mountains;
You raise me up, to walk on stormy seas;
I am strong, when I am on your shoulders;
You raise me up... To more than I can be.※

※あなたが励ましてくれるから
山の頂にも立てる
あなたが励ましてくれるから
荒ぶる海も渡ってゆける
私は強くなれるのよ
あなたの支えがあれば※  (※〜※ 繰り返し×2)

You raise me up... To more than I can be.
あなたが励ましてくれるから
私以上の私になれるの...


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2018年12月17日

ルノーの Mistral gagnant

シヤンソン

「ミストラル・ガニァン」 Mistral gagnant  

作詞・作曲・歌  ルノー・セシァン(Renaud Sechan)

2015年5月「全時代を通してフランス人が最も好きな歌」のランキングで第1位を獲得。
3年前、ミストラル・ガニァンがフランス最愛の歌となった。

歌の題名Mistral gagnantとは、当たりくじ券付きのボンボン砂糖菓子のこと。寒い北風のような涼しさが口の中にひろがるというが、ルノーが子供の頃であって、いまでは販売されていない。mistral:南仏に吹く冷たい北風。 gagnant:「勝った、当たりの」形容詞。

3年前までは強度なアル中でTVにも出してもらえないルノー、自分の幼い娘に「時がどんなに残酷であっても、人生を愛するように」と、優しく歌った30年前の歌が再評価された。

Renaud - Mistral gagnant  ルノー若かりし頃

ルノーは1952年パリ生まれの66才。フランスの反体制派で下町言葉の無頼派シンガーソングライター、また左翼シャルリー・エブド誌の執筆者でもあった。

1985年アメリカ・ロスで録音、アルバム「ミストラル・ガニァン」に収めた曲で、長年に渡る強度のアルコール依存症のため、再起はもうムリだと言われていた。

多くの国民からルノー コールを受けて64才で9年ぶりにカムバックした。2016年4月には新アルバム「Renaud Toujours debout(ルノーいまだ健在)」が大ヒット。

2017年2月第32回「ヴィクトワール・ド・ラ・ミュジーク」(Victoires de la Musique)でも男性アーティスト賞を受けている。

荒れ狂っているマクロン大統領のフランス、ルノーのボンボン砂糖菓子の歌を支えているのは、黄色のベストを着て戦っている人達かも、人生を愛せよとばかりに。

クール・ドゥ・ピラートが歌う「ミストラル・ガニァン」 僅か4年半でアクセス1,900万回これもすごい。

A m'asseoir sur un banc cinq minutes avec toi
Et regarder les gens tant qu'y en a
Te parler du bon temps qu'est mort ou qui r'viendra
En serrant dans ma main tes p'tits doigts

君とベンチに5分間座って
人々が通り過ぎるのを見る
楽しい時間が過ぎたことをまたはこれから来ることを話す
君の小さな指をぼくの手に取りながら

Puis donner a bouffer a des pigeons idiots
Leur filer des coups d’ pieds pour de faux
Et entendre ton rire qui lezarde les murs
Qui sait surtout guerir mes blessures

そしてバカな鳩に餌をやり
ふざけて蹴るまねをする
そして君の笑い声が壁を登るのが聞こえ
それは本当にぼくの傷をいやす

Te raconter un peu comment j'etais mino
Les bonbecs fabuleux qu'on piquait chez l’ marchand
Car-en-sac et Minto, caramel a un franc
Et les mistrals gagnants

ぼくが子どもだった頃どうだったか話す
ぼくらが店から盗んだすてきなお菓子のことを
1フランのカランサックとミントにキャラメル
そしてミストラルギャニョン

A r'marcher sous la pluie cinq minutes avec toi
Et regarder la vie tant qu'y en a
Te raconter la Terre en te bouffant des yeux
Te parler de ta mere un p'tit peu

君と雨の中を5分間歩いて
過ぎてゆく人生を見ている
地球の話をしながら僕の眼は君を見つめる
ちょっとだけ君のお母さんの話をする

Et sauter dans les flaques pour la faire raler
Bousiller nos godasses et s’ marrer
Et entendre ton rire comme on entend la mer
S'arreter, r'partir en arriere

水たまりに飛び込んでお母さんを困らせる
靴をだめにして笑う
君の笑い声は海の音みたいに聞こえる
立ち止まって振り返る

Te raconter surtout les carambars d'antan et les cocos boheres
Et les vrais roudoudous qui nous coupaient les levres
Et nous niquaient les dents
Et les mistrals gagnants

君に昔のカランバーやココボエールのことを話す
ぼくらの唇を切った本物のルドゥドゥのことを
それは歯も汚した
そしてミストラルギャニョン

A m'asseoir sur un banc cinq minutes avec toi
Et regarder le soleil qui s'en va
Te parler du bon temps qu'est mort et je m'en fou
Te dire que les mechants c'est pas nous

君とベンチに5分間座って
太陽が沈むのを見る
過ぎた楽しい時間のことを話す 僕は気にしない
悪いやつらはぼくらではないと言う

Que si moi je suis barge, ce n'est que de tes yeux
Car ils ont l'avantage d'etre deux
Et entendre ton rire s'envoler aussi haut
Que s'envolent les cris des oiseaux

もしぼくがおかしいと言うならそれは君の瞳に対してだけだ
しかも(瞳は)二つある
君の笑い声が高く上がるのが聞こえる
それで鳥の鳴き声は追いやられる

Te raconter enfin qu'il faut aimer la vie
Et l'aimer meme si le temps est assassin
Et emporte avec lui les rires des enfants
Et les mistrals gagnants

君に人生を愛するように言う
時間が人殺しであっても愛するように
子供の笑い声を持って行ってしまうとしても
それからミストラルギャニョンも

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2018年12月10日

みすずの山茶花

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山茶花  金子みすゞ   
居ない居ない   
ばあ!   
誰あやす。   
風ふくお背戸(おせど)の   
山茶花は。居ない居ない   
ばあ!   
いつまでも、
   
泣き出しそうな     
空あやす。   


みすずが山茶花の木に隠くれて空と隠れん坊。いまにも泣き出しそうな空をあやしている。いないかな、ばぁ、と、何ともあどけない。

「風ふくお背戸の」おせどは、家の勝手口。童謡に「お背戸に木の実の落ちるころ、、、」と里の秋の歌にあった「おせど」が懐かしい。

紅葉の写真を撮っていて、山茶花が咲いているのを見つけたのは、ついこの前である。咲いては散って次が咲くを繰り返す山茶花、いまは、いよいよ冬の季節。

北では雪が降りだし、ここも真冬の山茶花が真っ盛り。椿の花は首からバサリと落ちその姿は見るからに残酷。

山茶花のほうは、一枚ずつ花びらが落ち、周りの地面は鮮やかな朱色に染まる夢舞台。12月の天候はいつも曇りがち、きょうは日本海側では雪が降り、まもなくクリスマスである。


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きょうの音楽

ゲオルギー・スヴィリドフ/組曲「吹雪」  

プーシキン原作映画「吹雪」から軽快なワルツ。音楽を聞き急にこの映画を見たくなった。

(楽曲視聴 NHK交響楽団より)
この作品ははじめロシアの詩人・作家プーシキンの小説『吹雪』を題材にした映画のために作曲された。小説の舞台は19世紀初頭のロシアの田舎。
身分の違いゆえに結婚を許されない若い男女が、教会で勝手に結婚式を挙げてしまおうとするが、当日ひどい吹雪のために、計画が狂い、運命を翻弄される物語である。

ゲオルギー・スヴィリドフはショスタコーヴィチに師事した作曲家で、1950年代頃からロシア的な性格の強い音楽を目指すようになっていった。1964年に映画『吹雪』の音楽を書き、その後1973年から1974年にそれを編曲し、独立した組曲とした。その音楽は、国民楽派的な雰囲気をもち、19世紀のロシアの農村の風景をありありと伝える。

Georgy Sviridov-Waltz "The Snowstorm"- Г.Свиридов. Вальс "Метель"  

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 ひょうご加西植物園 12月8日


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2018年12月03日

晩秋に咲く芙蓉 山川登美子

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かなり寒くなってきた12月2日、姫路城好古園へ行くと緑の葉も生きいきと、芙蓉がまだ紅い花を咲かせていたのでひどく感心した。

芙蓉は7月〜11月まで咲くというが、自分の頭の中では芙蓉は夏の花である。晩秋の芙蓉は別の花のように見えてしまう。さてその芙蓉、山川登美子と与謝野鉄幹が詠んだ歌がある。


  山川登美子

  わが息を 芙蓉の風にたとへますな 十三絃を ひと息に切る(恋衣)

  秋かぜに御粧殿(みけはひどの)の小簾ゆれぬ 芙蓉ぞ白き透き影にして(恋衣)
  
私の息を芙蓉が香るそよかぜ風に例えないで下さい。そんな軟な女ではありません。私の気性は13本の琴糸を一気に切れるくらい激しいのです。  

「御粧殿」=源氏で、即ち鉄幹のこと。秋風が吹いても鉄幹のすだれは揺れもせず、すだれの透き間からは白い影のように芙蓉がみえる。

登美子が詠む白くて薄い芙蓉の影は気になる滝野であろう。鉄幹の芙蓉をよめば、歌を詠めなかった滝野が何だか可哀そう。

鉄幹による芙蓉の歌はみな滝野を歌っている。白芙蓉は滝野の雅号である。鉄幹の芙蓉はなぜか三首とも滝野への離縁の歌ばかり。

明治32年10月上京した滝野は鉄幹と同棲するも、1年7ヶ月経てから二人は離別している。3つ目の歌は、きのうまでは植える花でありながら、「今日はこの世の 花ならずと思ふ」と冷たく遠く滝野を追いやっている。

    与謝野鉄幹

    われひそかに 栄はえある花とたのみしも 芙蓉はもろし 水にくだけぬ

    おもひでの 多きを誇る秋ならず つめたかりけり 白芙蓉の花

  芙蓉をば きのふ植うべき花とおもひ 今日はこの世の 花ならずと思ふ


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 姫路城 好古園12月2日


きょうの音楽 

パリの空の下   レイモン・ルフェーヴル 

作曲 ユベール・ジロー(Hubert Giraud)
フランス映画「巴里の空の下セーヌは流れる」の挿入曲。レイモン・ルフェーブルによりイージー・リスニングメロディーに編曲演奏。グレコの歌もいいが、レイモン・ルフェーヴルによるオーケストラ演奏はパリムードたっぷり。
歌の内容をもっと知りたく調べてみた。西条八十やその他たくさんあって迷ったが、一番簡潔な訳詞を選んだ。訳:船津 建

パリの空の下
歌が流れる
その歌はきょう
ある青年の胸に生まれた
パリの空の下
恋人たちが歩いている
彼らの幸せは恋人たちのために
作られた歌に育まれる

ベルシー橋の下には
哲学者がひとり座っている
二人の楽士とヤジ馬たち
そしてたくさんの人たちが
パリの空の下
夜まで歌いに行くのだ
この古い都に惚れ込んだ人びとの讃歌を

ノートルダムの近くでは
時どき事件が起こる
そう、でもパリのことだから
すべて丸く収まるのだ
空から注ぐ夏の陽ざし
船頭の奏でるアコーデオン
希望が花ひらく
パリの空に、、、、、



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2018年11月26日

紫式部より教えられしこと

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 11月23日姫路好古園 紫式部


紫式部は人間の身と心の問題を、今の世の人々にも教えてくれているが、それが人生の無常について問うているかのように聞こえてくる。

  心だに いかなる身にか かなふらむ 思ひ知れども 思ひ知られず     紫式部

どのような身の上であれば自分の心は満足するのであろうか。満足することはないと分かりながらも、心底諦めることが出来ないのが人の心である。この気持ちが源氏物語を生んだようだ。

  おほかたの 秋のあはれを 思ひやれ 月に心は あくがれぬとも    紫式部

世間でいう、秋の悲しみを思ってみて欲しい。秋は男から忘れ去られる程に寂しいものである。
秋が(飽きが)来て美しい月(他の女)に、男の心があくがれ(憧れ奪われ)ていなくても、秋とはほんとうに寂しいものである。

   世の中を なにか嘆かまし 山桜 花見るほどの 心なりせば      紫式部

この世の中をどうして嘆こうものか、山桜の花を見るときのような、物思いのない心さえ持っていれば、いらぬことはみんな忘れられる。

 
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紫式部は結婚して一女を授かりまもなく夫を亡くし、中宮彰子に仕え女房の仕事をしながら、歌人・作家として源氏物語、紫式部日記などの作品を残している。

機知や閃きのようなものはなく、漢学の素養をいっぱいに積み学識があり、素直な心で憂いを含めた豊かな文学作品である。

姫路城の好古園はいま紅葉のまっ盛り、この三連休は天気もよく観光施設はどこも満杯のよう。見物する人達のモミジ狩り風景は、源氏絵巻のようにあでやかであった。

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きょうの音楽


シューベルト ピアノ三重奏曲第2番第2楽章

ピアノが先を歩み、チェロが哀愁のある主題を奏でながらヴァイオリンが入る。三っの楽器が美しく共演する人気の第2楽章。主題はスウェーデンの民謡「太陽は沈み」からという。


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2018年11月19日

もみじ葉は袖にこき入れて

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      もみぢ葉は 袖にこき入れて もて出でなむ 秋は限りと見む人のため  素性法師

紅葉しているモミジ葉を枝から袖に差し入れ、持って山を出よう。秋はもう終わったと思っている人に、秋はまだ終わっていないと見せてあげよう。

詞書には「北山に僧正遍昭と茸(たけ)狩りにまかれりけるに詠める」とある。素性法師の父が百人一首の「天つ風雲の通ひ路吹きとぢよ をとめの姿しばしとどめむ」の僧正遍昭である。

親子して京の北山へでもキノコ狩に出かけ、紅葉した葉を袖に入れ持ち帰ったのであろう、人に見せて楽しんでいる。



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兵庫県宍粟市の最上山モミジ祭りに出かけた。毎年見物しているが今年は紅葉が少し遅れているようで、紅くないモミジ葉もあったが十分楽しめた。

紅葉は僅かに与えられた恵みの命、今年も落葉までもうあと少し、居合わす人に美しい姿を見せながら、惜しみなく時は過ぎて行く。

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 宍粟市最上山 11月日17日       落ち葉を集める子ども達


きょうの音楽


スクリャービン  12のエチュード「悲愴」Op.8-12 嬰ニ短調

ピアノ:ホロヴィッツ


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