2019年01月06日
冬は来にけり 式子内親王
見るままに 冬は来にけり 鴨のゐる 入江の汀(みぎわ) 薄凍りつつ 新古今集 式子内親王
見ているうちにすっかり冬が来たようだ。ふと気が付けば、いつも鴨がうずくまっている入り江の水際が、だんだんと薄く凍ってきた。汀=みぎわ(水際)
ゆったりと冬の到来を受け入れようとする、叙景歌としての魅力がいっぱい。式子は少しづつ凍って行く入り江を、冬の到来として眺めながら長閑に詠っている。
見たままの冬を詠う内親王の品格と、古風な雅さを感じる数少ない冬の歌で、伝統を守りながらも、鎌倉初期の新しさを織り込んでいる。
さりともと 待ちし月日ぞ うつりゆく 心の花の 色にまかせて 新古今集 式子内親王
そのうち来てくれるだろうと待っていた月日は空しく過ぎ去っていく。あの人の心の花の色が褪せてゆくままに。愛する人は、いつまで経っても来ないことを嘆き諦めようとしている。
(さりともと=そうだとは思っていても)
移り行く心の花の色とは、父俊成卿より幽玄の美を学んだ息子の定家より20才も年上の式子がこの歌である。この頃の式子は最先端にいたと思われる。
(昨年1月の姫路温室植物園の新春らん展より、今年は1月12日より開催される)
きょうの音楽
ワルツ 「春の声」 "Fruhlingsstimmen" ヨハン・シュトラウス2世
ソプラノ パトリツィア・ヤネチコヴァ( Patricia JANEČKOVA)
12歳のときに、チェコ、スロヴァキアのTV番組の大会で優勝。天才少女現るで翌年アルバムを出すも、積極的なアイドル活動をやらずにヤナーチェク音楽院に入る。
1998年生まれの20才。とってもきれいな声、厚みのある本格的なオペラ歌手に向けてはこれからで、今後楽しみなソプラノ歌手。
Patricia JANEČKOVA: "Fruhlingsstimmen" (Johann Strauss II)
この記事へのコメント
おはようございます。
式子内親王、心に思っておられた方のお名前を是非知りたい・・・なんて、ついつい思ってしまうのですよね。
パトリツィア・ヤネチコヴァ、20歳ですか。声もきれいですが、ほっそりとした体形にしては、声量もありますね。
本当にこれからが楽しみです!
松の内でまたまた、式子内親王です。勅撰和歌集で、最後の新古今集は印象派の絵画のような作品が多く、これまでと違った新しいものを感じます。
「式子内親王、心に思っておられた方のお名前を是非知りたい・・」
じゅんちゃんもお察しの通り、式子が一番好きだったのは定家だと思うのです。ところが式子より20才も年が下ではムリかなぁと思うのですが、年齢ではなさそうですね。
いろんな議論がありますが、式子内親王が心に思っておられた方は、定家以外は見えてこないですね。
ワルツ「春の声」今年も、明るく楽しくワルツです。まだ、冬が始まったばかり、これから春を目指して、何もかもがまっしぐらです。