朧月夜「春宵感懐」雨があがって風が吹く 中原中也

2019年03月21日

チューリップ・鬱金香


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チューリップの和名を鬱金香(ウコンコウ)と言う。江戸末期にオランダから日本に渡来し、本格的な球根保存による栽培は、大正時代に富山県砺波市で始まった。    

花の香りが、カレーのスパイスや食品を黄色に染めるために使うウコン(鬱金)と、同じような香りがすることから鬱金香の名がついた。

チューリップを和名の鬱金香で詠んだ白秋の歌がある。

    鬱金香の匂いのもとに わづかなる 眩暈を覚え昼も思ひぬ   北原白秋

白秋はチューリップの匂いを嗅ぎ、めまいをしたという。ウコン(鬱金)は、ショウガ科ウコン属の多年草。英語名ターメリック (turmeric)。

インドが原産で、紀元前からインドで栽培されている。「鬱金」の原義は「鮮やかな黄色」。


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李白が詠んだ漢詩の中に「蘭陵の美酒 鬱金香」という一節がある。李白は中国山東省の蘭陵で、ウコンを酒に浸して色や香りをつけた鬱金香の酒を飲み詠った。

客中行 李白

蘭陵美酒鬱金香  蘭陵の美酒 鬱金香
玉椀盛來琥珀光  玉椀 盛り来たる 琥珀の光
但使主人能酔客  但 主人の能く人をして酔わしめば
不知何處是他郷  知らず何れの處か是れ他郷

蘭陵の美酒は鬱金の香りを漂わせ、 玉の碗に注がれて黄色い琥珀の光を放っている。李白は言う、私には、ただこの家の主人がたっぷり酔わせてくれればそれでよい。

異郷の地であるとか、住み慣れた場所だとか、そのようなことはどうでもいい。酒さえあれば、どこでもそこが我が家である。

客中行とは旅先で作った歌のこと。蘭陵の鬱金香酒は美味いとされ、酒飲みの李白は鬱金香の酒で大いに満足している。

しかし、チューリップが鬱金香(ウコンコウ)では読み難く、インドカレーの仲間ではかわいそう。いつしか日本も英語読みのチューリップが一般化したようだ。

また、チューリップの花の香りは様々で、薬のようなスパイス様の香りや、ジューシーでほのかな香がするものもある。

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 3月19日 ひょうごフラワセンターのチューリップ祭り


きょうの音楽

モーツァルト/ピアノ・ソナタ 第14番 ハ短調 第1楽章,K.457  

ピアノ アンドレイ・ピサレフ(1962年〜)ロシア・ロストフ生まれ。1983年ラフマニノフ・コンクール優勝、第5回国際モーツァルトコンクール優勝。



naturococo at 00:07│Comments(2)

この記事へのコメント

1. Posted by じゅんちゃん   2019年03月23日 12:25
haruka1さん、こんにちは。

昨日から、ちょっと寒くなってますね。

チューリップはほんとうに可愛い花ですよね。ウコンの香りものには出会った記憶がないです。

李白の詩は面白いですね。親しい友人が、「いつか李白のような酒が飲めるまでは、酒を嗜まない」と言って、勧めても、にこにこして、飲みません。こんな楽しくておいしいものって、そんなにはないと思うのですが・・(^^♪

モーツァルトの、とりわけピアノソナタは何時聞いても快適ですよね。

ピサレフの演奏、すばらしいですね。

4月に入ったら、ピアニストの友人がまたピアノを弾いてくれます。曲は当日になってからということで、ちょっと楽しみです。
2. Posted by haruka1   2019年03月23日 13:23
じゅんちゃんさん、こんにちは。

ここは鉢植えの温室チューリップでお祭りを開催しています。花壇ではまだ葉っぱが出たばかりのチューリップです。4月の半ば頃になれば一斉にチューリップ畑で咲き乱れます。

李白の酒飲みは有名。ご友人が語るお話しがおもしろい。杜甫、白居易なども酒が大好き。ご友人、いつになれば飲めるのかな。なんて、。

今夜は息子達家族と我が家で飲み会です。先日スペインの会社に勤務している後輩君から手土産のフランスワインが届いたのでそれを飲んでみます。密かな楽しみです。
スペインに住んでも飲むのはいつもフランスワインだと豪語していました。後輩君達とは昔も今も飲む話ばかりです。

昨日、朝鮮人参酒が届きました。すでに蜂蜜レモンで調整しているので、そのままで美味しく飲めました。このような酒があったのですね。

いまは酒量が極端に少なくなっているので、少量で酔い、すぐ醒めてまた少量飲むといったタイプに変わりました。これでいいのでしょう。

ひさびさにモーツアルトに戻りました。14番の短調これもいいですね。探していたら、また短調だった。ご自宅にピアニストが集まるなんて、最高! まもなく4月、今年の桜は早いとか、また桜を撮ってきます。

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