ハウザー&キャンベル チャルダーシュ散りゆく桜

2019年04月09日

春と恋人 中原中也

IMG_5689


春と恋人  中原中也
 

美しい扉の親しみに
私が室(へや)で遊んでいると、
私にかまわず実ってた
新しい桃があったのだ……

街の中から見える丘、
丘に建ってたオベリスク、
春には私に桂水くれた
丘に建ってたオベリスク……

蜆(しじみ)や鰯(いわし)を商(あきな)う路次の
びしょ濡れの土が歌っている時、
かの女は何処(どこ)かで笑っていたのだ

港の春の朝の空で
私がかの女の肩を揺ったら、
真鍮(しんちゅう)の、盥(たらい)のようであったのだ……

以来私は木綿の夜曲?
はでな処(とこ)には行きたかない……

私にかまわず実っていた新しい桃もそうだが、かの女は何処(どこ)かで笑っていた、私がかの女の肩を揺ったらなど、出て来る女は、京都から一緒に東京へ出奔した泰子である。

丘に建ってたオベリスクやしじみや鰯の露地売りなど、かって泰子と遊んだ横浜の思い出が見えてくる。真鍮のように華やかだった泰子と別れた中也、

自分は「木綿の夜曲」だ、派手なところへは行きたくなくないという。泰子が中也の親友小林秀雄の下に走ったのは、大正14年11月。横浜の題材から初稿は大正15年の春頃のよう。

やっと春が来たのに、恋人は立ち去ったあと、中也には何とも一人寂しい春である。


IMG_5765IMG_5577

IMG_5553IMG_5722
 4月5日 ひょうごフラワーセンター


今日の音楽



   Song From A Secret Garden  

チェロのステファン・ハウザーが演奏

シークレット・ガーデン(Secret Garden) はアイルランド/ノルウェーのニューエイジ・ミュージック新古典派音楽を作曲・演奏する2人組。

1996年のアルバム「Song From A Secret Garden」で、メジャーデビューを果たしており、 You Raise Me Upなどのいい曲がある。

ノルウェー出身のラルフ・ラヴランド(作曲家、ピアニスト)とアイルランド出身フィンヌーラ・シェリー(ヴァオリニスト)の二人からなるユニットで伝統音楽の香を漂わせ、穏やかなサウンドで好評を得ている。



naturococo at 00:09│Comments(2)

この記事へのコメント

1. Posted by じゅんちゃん   2019年04月12日 13:42
haruka1さん、こんにちは

寒くてびっくりの日々でしたが、やっと暖かくなりました。

チューリップの季節ですね。

長谷川泰子は魅力的だけれでも、中也だけでなく、小林秀雄も翻弄されたようですね。小林秀雄が何かに書いていたのが思い出されます。

中也にとって泰子がどんなふうだったのか、「私にかまわず実ってた新しい桃」。これだけでなんだか納得できるのですが、そんな泰子を中也は忘れられない。写真で見ると、ずいぶん綺麗な人ですね。

Song From A Secret Garde、伝統音楽の香がしますね。ハウザーの演奏は、いつも魅力がいっぱいです。(^^♪



2. Posted by haruka1   2019年04月12日 17:44
じゅんちゃんさん、こんにちは。

桜も終わり、加西の公園では地植えのチューリップがいっぱい咲いていました。

しばらくほんとに寒かったです。昨日は運動がてら淡路島の夢舞台の温室で写真を撮ってきました。レンズ3本背負って歩くとしんどいですが、気分転換によく食欲も出てきます。但し、数百メートル毎に一休みします、笑。

長谷川泰子の潔癖症は小林秀雄も大変だったようです。数多くの男性を振り回すのですが、泰子には男性を引き付ける魅力があったと思います。題名の「春と恋人」についていろいろと妄想が出来るようになっているのが、この作品のおもしろいところかも知れません。

ハウザーや、ヨーヨーマなどそれぞれ独自のスタイルを持っているのですが、二人共ジュンクラ以外の音楽分野に参加していて、それがチェロという楽器のいいところのようです。やっているご本人がとっても楽しんでいます。

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
ハウザー&キャンベル チャルダーシュ散りゆく桜