2019年05月07日
くれないの牡丹咲く
くれなゐの牡丹咲く日は大空も
地に従へるこゝちこそすれ 与謝野晶子
庭に咲く紅色の牡丹が見事に咲いている。牡丹の花に添えるように、青々としたあの大空さえもが地に平伏したように見える。花言葉は「王者の風格」、その理由がよく分かる。
牡丹ちる日も夜も琴をかきならし
遊ぶわが世の果つるごとくに 与謝野晶子
一日中琴をかきならし遊興に耽っていた私も、あの牡丹と同じように果ててしまうのであろうか。牡丹は美しく華やかに咲いき、一息に崩れるように散ってゆく。
さすがに牡丹の別名は豊富である。「花王」「百花王」「百花の王」「花神」「花中の王」
「富貴草」「富貴花」「天香国色」 「名取草」「深見草」「二十日草(廿日草)」「忘れ草」
「鎧草」「ぼうたん」「ぼうたんぐさ」 万葉集には牡丹はまだ載っていないが、平安時代に登場している。
蜻蛉日記 中巻 平安初期(971年頃) 「何とも知らぬ草どもしげき中に、牡丹草ども いと
情けなげにて、花散りはてるを見るにも」
枕草子(1001年)平安中期
「台の前に植ゑられたりける牡丹などのをかしきことなど、のたまう」
経信集(1097年頃)・源経信 平安中期
和歌:「きみをわがおもふ心の深見草 花のさかりにくる人もなし」
千載集(1188年頃)・賀茂重保 平安末期
和歌:「人しれず思ふ心は深見草 花咲きてこそ色に出でけれ」
高倉健の映画、昭和残侠伝「唐獅子牡丹」を思い出す。獅子は「百獣の王」 牡丹は「百花の王」この二つの組み合わせが、任侠の世界でいう男気の象徴であった。この映画は昭和40年からシリーズで9編作られた。
東映の映画『昭和残侠伝』の主題歌 ⇒ s://youtu.be/LmzVr4W_p1s
義理と人情を 秤(はかり)にかけりゃ
義理が重たい 男の世界
幼なじみの 観音様にゃ
俺の心は お見通し
背中(せな)で 吠えてる
唐獅子牡丹
親の意見を 承知ですねて
曲がりくねった 六区の風よ
つもり重ねた 不孝のかずを
なんと詫びよか おふくろに
背中で泣いてる 唐獅子牡丹
4月28日 姫路城牡丹園
今日の音楽
カール・ジェンキンス作曲 「パラディオ」
ヴァイオリン
カミーユ・ベルトレ ジュリー・ベルトレ フランスの神童姉妹による演奏。
「Camille & Julie Berthollet」 2014年、フランスの大晦日特別番組「Prodiges-才能ある若者たち」で優勝。当時15才の妹カミーユ(左側の髪が長い人)はヴァイオリンとチェロを自在に操る天才肌のプレーヤー。
作曲者のカール・ジェンキンスはかってはイギリス・ジャズ・ロックの世界で活躍し、現在はクラシック・現代音楽作曲家として確かな地位を得ている。
曲名のパラディオとは16世紀ルネッサンスの建築家アンドレ ア・パラディオの建築を指し、調和と古典的な建築要素がこの音楽と共通するとの意味を持たせている。軽快で品のあるメロディーで心地よい。
Camille et Julie Berthollet - Palladio
この記事へのコメント
毎回、お写真のすばらしさに感動しています。(^^♪
牡丹を歌う、与謝野晶子もまた女王ですよね。
平安の御代から続く牡丹、誇り豊かな花です。
いつか牡丹をと思いながら、我が家の庭ではまだ咲かせていません。
Camille & Julie Berthollet、姉妹でこんな演奏ができるのは、やはり稀有ですよね。
牡丹の花、今年はいつもより早く咲いていたようですでに散り始めでした。牡丹は花の中でも撮影が一番難しい花だと思っています。何とかかろうじて撮ってきましたが白トビ(花などの先端が反射で白く色がとぶ)多くて美成功率が低いのです。
唐獅子牡丹は無理やり付け足しました。昭和41年以降から流行ったこの映画が好きで、次々とみていた頃があり、懐かしい歌です。映画館を出る頃になれば、男の子はみんな、いい男になった積もりでいたようです。
Camille et Julie Berthollet、いろいろその他の曲を聞いてみました。妹カミーユのチェロも素晴らしいです。このような姉妹がフランスで生まれていたと知りませんでした。最初は曲を聞いて一瞬はっとしたのです。