万葉の薔薇チームラボのアート展・姫路美術館

2019年05月31日

風雨 中原中也

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     「風雨」  中原中也     未刊詩篇

     雨の音のはげしきことよ
     風吹けばひとしほまさり
     風やめば つと和みつつ

     雨風のあわただしさよ
     ――悲しみに呆けし我に、
     雨風のあわただしよ!

     悲しみに呆けし我の
     思ひ出はかそけきことよ
     それににて巷も家も
     雨風にかすみてみゆる

     そがかすむ風情の中に、
     ちらと浮むわがありし日よ
     風の音にうちまぎれつつ
     ふとあざむわがありし日よ   
           
        
「風の音にうちまぎれつつ ふとあざむわがありし日よ」中也はこの最後の2行で言い尽くしている。我が在りし日は、情けなくも風雨に紛れて吹き飛ばされ、今にも消えそうだと軽蔑し、あざ笑う。

処女詩集「羊の歌」(1934年、昭和9年)では人間関係で多くの挫折感を味わっている中也、ここでは過ぎ去りし日のことを、何もかも消えかかる思い出として幻想する。

しかし子供の文也の死など、在りし日の悲しみなどは、第二詩集「在りし日の歌」(1938年、昭和13年)に載せられ、中也30才での病死半年後に、友人小林秀雄の手で出版される。


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今日の音楽


 筝曲 「瀬音」  作曲 宮城道雄

琴と低音十七絃筝の二重奏「瀬音」が作曲されたのは1923年(大正12年)、尺八との二重奏の「春の海」よりも6年前の作曲。曲は利根川の激しい流れと、穏やかな川面の2極を表現しており、低音域の補強のために十七絃筝との二重奏となっている。 


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 撮影5月29日 ひめじ手柄山公園。


naturococo at 01:20│Comments(2)

この記事へのコメント

1. Posted by じゅんちゃん   2019年06月03日 11:47
haruka1さん、こんにちは。
もうじき梅雨ですね。雨も風情があって、心惹かれます。

中也の詩を出版するのに、小林秀雄ほどふさわしい人はいなかったことでしょう。

小林秀雄も含めた人間関係で悩んでいたとしても、自らを理解してくれる無二の人だったことは、中也もよくわかっていたのですよね。

詩が読み継がれて、わたしたちの心に深く届くことに、今更のように感動します。

「瀬音」、水の季節にいいですね。(^^♪




2. Posted by haruka1   2019年06月03日 14:33
じゅんちゃんさん、こんにちは。
とうとう今年の真ん中まで来てしまいました。あぁ〜という間です。

中也と小林ほんとうにいい出会いだったと思います。それぞれに見る目があったのでしょう。泰子も随分迷ったと思います。中也は自分が選んだ詩人への道のりが予想外に大変だったことを読んでいて想像します。

30代に入る手前、それに二人目の子供がまもなく生まれようとするとき、何とか人生に糸目をつけたい年齢を身近に迎えた中也です。現実の厳しさの全てをわが身に振り向け、そこから見えるものを探し出そうとする態度は流石に詩人です。

宮城道雄の低音奏への挑戦も17弦が限界のようで、音域としてプラス4弦は狭いようですが成果は大きく出ています。



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