2019年11月07日
銀杏ちるなり 夕日の丘に
金色(こんじき)の ちひさき鳥の かたちして
銀杏ちるなり 夕日の丘に 与謝野晶子 「恋衣」
小金色した銀杏の葉が、まるで小さな金色の小鳥が飛んでいるかのように散っていくことよ。
輝く夕日の秋の丘に照らされて。
与謝野晶子27才のとき、明治38年1月号の明星に初出。同年詩集「恋衣」に収録される。金色のいちょうの葉を銀杏もみじともいうが、それを目の前にした晶子は絶唱した。
小さき鳥のかたちをした金色の銀杏が、夕日の丘に舞い落ちる。この表現がいい。時の評論家、生田長江は2月号の明星で次のように述べている。
「女史が奔放限りなきファンタジアの力に驚嘆するばかりでなく、亦何となく女王の御前に導かれて行きでもするかのような、一種おごそかな感じが起こる」
ロマン派歌人与謝野晶子を、金色に輝く女王と讃えているが、何とも心地よい響きである。
きょうの音楽
フラメンコギター「マラゲーニャ」(Malaguena)
ギターリスト:マイケル・ルカレッリ(Michael Lucarelli)
マラゲーニャ発祥の地は、19世紀スペイン南部海辺の町のマラガ。いまではフラメンコのコンサートでよく出てくる名曲となっている。
スペイン南部にはたくさんの民謡があり、その中のフラメンコにはパロ(曲種)毎に決まったメロディがある。
そのために、複数の曲が存在する。譜面もなく(譜面があるのは採譜したもの)、耳で聴き取る厄介な音楽でもある。
19世紀から20世紀初頭にかけてマラゲーニャは次々と生まれ、多くのギターリストが演奏して歌手達が歌ってきた。
ギター演奏 「マラゲーニア」
Malaguena - Michael Lucarelli, classical guitar
歌 「マラゲーニア セレロッサ」
Malaguena salerosa 愛想のいいマラガの娘
歌:ロベルト・ポリサノ(Roberto Polisano)
この記事へのコメント
銀杏が金色に染まるととても心が躍ります。晶子のこの歌は、情景が眼前にパアーっと広がりますよね。凄い才能です!
フラメンコには基本、譜面がないのですね。自由で情熱的でいいですねえ。

銀杏の写真は、2年前山の家で撮ったものです。2本あるのですが、この寒さ、間もなくすれば黄金色に染まるでしょう。
薔薇園で秋薔薇を撮ってきたのですが、すでに終わりのほうで花に元気がなく残念でした。
久しぶりに与謝野晶子です。銀杏の歌は、素直ないい歌です。分かりやすいので小6、中学の教科書に出ているそうです。
情熱のフラメンコ、学生時代これが弾きたくてギターを買ったのですが難しいところは適当に省略して弾いていました。ギターの難しさがよくわかりました。