2019年12月05日
「吹く風を心の友と」 中原中也
「吹く風を心の友と」 中原中也
(未発表詩篇〜早大ノート1930年〜1937年)
吹く風を心の友と
(未発表詩篇〜早大ノート1930年〜1937年)
吹く風を心の友と
口笛に心まぎらはし
私がげんげ田を歩いてゐた十五の春は
煙のやうに、野羊(やぎ)のやうに、パルプのやうに、
私がげんげ田を歩いてゐた十五の春は
煙のやうに、野羊(やぎ)のやうに、パルプのやうに、
とんで行って、もう今頃は、
どこか遠い別の世界で花咲いてゐるであらうか
耳を澄ますと
げんげの色のやうにはぢらひながら遠くに聞こえる
あれは、十五の春の遠い音信なのだらうか
滲(にじ)むやうに、日が暮れても空のどこかに
あの日の昼のままに
あの時が、あの時の物音が経過しつつあるやうに思はれる
それが何処か?―とにかく僕に其処(そこ)へゆけたらなあ…
心一杯に懺悔して、
恕(ゆる)されたといふ気持の中に、再び生きて、
僕は努力家にならうと思ふんだ―
いま15の春は高校1年生。実に甘酸っぱく、驚きと迷いの中でいっぱい学ぶ。この詩が高1の教科書に載せられ、多くの人より共感を得て、思い出の詩になっている。
きょうの音楽
モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第4番ニ長調 K.218(第1〜第3楽章)
バイオリン:アンネ=ゾフィー・ムター(1963〜ドイツ)
ANNE- SOPHIE MUTTER ~ Mozart Violin Concerto # 4 in D major
~ Camerata Salzburg
~ Camerata Salzburg
水面に浮かぶ 「逆さ紅葉」
姫路好古園
naturococo at 00:11│Comments(2)│
この記事へのコメント
1. Posted by じゅんちゃん 2019年12月11日 14:50
haruka1さん、こんにちは。
お写真、燃えるような朱ですね。すばらしい紅葉です。
15の春と言えば、遠い昔になりましたが、「僕は努力家にならうと思ふんだ」という一節は、ほんとうにほんとうに納得できます。もう少し「ひたすら」という在り方に謙虚であれば・・・(⌒∇⌒)
ヴァイオリン協奏曲、このあたりはほんとうに素晴らしいですね。
お写真、燃えるような朱ですね。すばらしい紅葉です。
15の春と言えば、遠い昔になりましたが、「僕は努力家にならうと思ふんだ」という一節は、ほんとうにほんとうに納得できます。もう少し「ひたすら」という在り方に謙虚であれば・・・(⌒∇⌒)
ヴァイオリン協奏曲、このあたりはほんとうに素晴らしいですね。
2. Posted by haruka1 2019年12月11日 17:06
じゅんちゃんさん、こんにちは。
きょうはばらしい秋晴れのいい天気、少し寒さにも慣れてきましたが、真冬はこれから始まるなんて厳しすぎます。久々に15の春を読んで懐かしいです。人生の中であの頃が一番に新鮮で、思えば何事も正しい毎日のようでした。
好古園の紅葉は今年も見事でした。今年は北野神社へ行けなかったのが残念です。そうですね、「青春時代」まずはひたすらに駆け抜けること、あの頃はこれが一番だったようです。
モーツァルトのヴァイオリン協奏曲は次の第5番で終わってしまうのですが、どうしてか不思議なぐらいこのあたりはいい音楽ばかりです。
きょうはばらしい秋晴れのいい天気、少し寒さにも慣れてきましたが、真冬はこれから始まるなんて厳しすぎます。久々に15の春を読んで懐かしいです。人生の中であの頃が一番に新鮮で、思えば何事も正しい毎日のようでした。
好古園の紅葉は今年も見事でした。今年は北野神社へ行けなかったのが残念です。そうですね、「青春時代」まずはひたすらに駆け抜けること、あの頃はこれが一番だったようです。
モーツァルトのヴァイオリン協奏曲は次の第5番で終わってしまうのですが、どうしてか不思議なぐらいこのあたりはいい音楽ばかりです。