「吹く風を心の友と」 中原中也 篝火花 シクラメン

2019年12月12日

廣瀬川 萩原朔太郎

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  「廣瀬川」  萩原朔太郎  
        (純情小曲集1924年 大正13年)
   
  廣瀬川  白く流れたり

  時されば 皆幻想は消え行かむ。 
 
  われの生涯らいふを釣らんとして 
 
  過去の日 川邊に糸をたれしが 
 
  ああ かの幸福は遠きにすぎさり 
 
    小ちひさき魚は瞳めにもとまらず。

朔太郎の「純情小曲集」自序には次のことが書かれている。

『やさしい純情にみちた過去の日を記念するために、このうすい葉つぱのやうな詩集を出すことにした。純情小曲集「郷土望景詩」十篇は、比較的に最近の作である。私のながく住んでゐる田舍の小都邑(村)と、その附近の風物を詠じ、あはせて私自身の主觀をうたひこんだ』

朔太郎が育った群馬県前橋を流れる廣瀬川は、以前よりも流れが速くなったのか白く流れ、青春の夢は幻想と化し、あの幸もいまは遠くへ過ぎ去った。

故郷廣瀬川の畔で過ごした青春時代、小さな魚の眼にも止まらぬ速さで駆け抜けて終わった。朔太郎39才(大正14年)の望郷回顧である。小さな魚の眼の表現はさすがである。


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きょうの音楽

モーツァルト  ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調K219 

ヴァイオリン アンネ=ゾフィ・ムター(Anne-Sophie Mutter, 1963年 - )

この第5番は、「古今のヴァイオリン協奏曲の名曲と比較しても全く遜色のない作品」と讃えられている。第3楽章に当時流行ったトルコ風の行進曲を挿入してる。

ANNE SOPHIE-MUTTER - Mozart Violin Concerto # 5 ~ Camerata Salzburg 



naturococo at 00:12│Comments(2)

この記事へのコメント

1. Posted by じゅんちゃん   2019年12月18日 17:41
haruka1さん、こんにちは。

比較的暖かい日が続いています。

高齢の母が風邪をひいて、少し記憶の怪しくなったとりとめもない話をきいていると、なんどか少女時代の景色が描き出されて、母は詩人ではないけれども、その美しさにしばし感動します。

詩人のことばならなおさらですよね。

秋から冬にかけてのヴァイオリンは、いつもに増して心に響きます。
2. Posted by haruka1   2019年12月18日 23:47
じゅんちゃんさん、こんばんは。

もう2月も後半、あと2週間で正月なんだ。じゅんちゃんさんのお母様も文学愛好家、、そう、いまも文学少女。

そのような会話がお出来なるなんて素敵なお母様ですね。これから年末とお正月、大事になさって下さい。萩原朔太郎はほとんどが口語体ですが、このような文語体も似合っています。

モーツアルトのヴァイオリン協奏曲はこの5番でお仕舞です。ヴァイオリンのためのアダージオ2〜3あるぐらいです。コメント下さってありがとうございます。

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